稽古(けいこ)
今回は、サムライが作った、日本の芸術と呼ばれている剣道の「心」について、ほんの少しだけお話します。
さて、全てのスポーツや武道では、試合で勝つと喜びます。ところで、信じられないかもしれませんが、剣道では、勝って喜ぶことは、悪いことだと教えています。剣道には、勝ってガッツポーズなどの、喜びのパフォーマンスをすると、勝ちが取り消されるというルールがあります。このようなルールは、世界中で、剣道だけです。
剣道は、肉体の強さを求めるのではなく、精神の強さを高めるための【修行】です。だから、剣道の試合は、相手からポイントを奪って、自分の強さを証明することが目的ではなく、相手にポイントを入れられたとき、自分の心の弱さを発見することが、目的なのです。
そして、剣道には、「打って反省、打たれて感謝」という言葉があります。
その意味は、相手にポイントを入れた場合は、今のポイントより、もっと良いポイントの取りかたは、なかったのか【反省】しなさい。
反対に、ポイントを入れられた場合は、ああ、そこが自分の弱点だったのか、教えてくれてありがとう、と【感謝】しなさい。ということです。
【反省】と【感謝】を土台にして、明日のために、さらに高いレベルの精神を養う。これが、剣道の【稽古】と呼ばれる修行方法です。【稽古】とは、過去を考えるという意味です。
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